自転車目線の解剖学講義4 - 大臀筋(2)  平成27年5月

自転車目線の解剖学講義4 - 大臀筋(2)  平成27年5月



リンク:解剖学講義1 - ハムストリング
リンク:解剖学講義2 - ハムストリング(2)
リンク:解剖学講義3 - 大臀筋



………


スタミナ重視の踏み足筋である大臀筋には、欠点があります。
それが、テクニック不足とスピード不足。

①テクニック不足
 大臀筋「だけ」を収縮させることが難しい。同時に大腿四頭筋を収縮させては元も子もない。また下腿の筋も使ってしまうことが多い。

②スピード不足
 ケイデンス120で大臀筋の収縮を繰り返すことは非常に困難。おそらくケイデンス60が精一杯。



【大臀筋だけを…】

大臀筋と協調する可能性のある筋には、大腿四頭筋、ハムストリング下部、腓腹筋(ひふくきん)があります。
これらの筋は大臀筋とは違って、「疲れやすい筋」なので、なるべく「仕事をさせない」必要があります。


それぞれの筋の仕事を確認すると、

①大臀筋
股関節:伸展(太腿を後へ)
ひざ:伸ばす
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②大腿四頭筋
股関節:屈曲(太腿を胸方向へ)
ひざ:伸ばす
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③ハムストリング下部
ひざ:曲げる
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④腓腹筋(ふくらはぎ、下腿背面)
かかと:爪先立ち方向へ伸ばす(底屈)
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【ペダルを後方へ引くと…】

もっとも温存したい筋は大腿四頭筋です。
股関節を伸展(太腿を後方へ引く)する際には、大腿四頭筋は全く活動されません。
フィギュアスケートやバレエの動きです。
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自転車でいえば、ペダルを後方へ引くことになりますが、、、
しかし、ペダルと足(下腿)が固定されているので、、、
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ペダルからの抗力のために、
・下腿を後方へ引く
・かかとを後方へ引く(底屈する)
これらのために、ハムストリング下部と腓腹筋が、必ず動員されてしまいます。

どんなに太腿だけに意識を集中させても、ハムストリング下部と腓腹筋の発動は避けられず、早々に疲労してしまいます。
「靴底の泥を落とすようにペダルを後方へ引く」と書いてある指南本もありますが、(表現方法の問題ですが)これらは、あまり正しくないように思います。


結論1:
ペダルを後方へ引くと、大臀筋とともにハムストリング下部、腓腹筋が必ず発動してしまい、疲れやすい。



【踏み足で大臀筋…】

踏み足をすれば間違いなく大腿四頭筋を使います。ただし、その働きを最小限に抑えられれば、、、、


大腿四頭筋は、膝を伸ばすときに使います。ということは、膝が曲がっているときにペダルから大きな抗力を受けます。
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一方、脚がのびきった状態では(シッティングでいる限りは)、大腿四頭筋への負荷が最低限になります。
つまり、ペダルが5時を回ると、、
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この時点でも大腿四頭筋への抗力は存在しますが、かなり小さくなります。
なおかつ、大臀筋の「後方へ引く」という動作がやりやすくなります。

ココで踏め!

これが大臀筋を使いながら、大腿四頭筋の発動を最低限に抑えられる位置ではないでしょうか。


結論2:
脚がなるべく伸びた状態で踏めば、大腿四頭筋の発動を最低限に抑えて、大臀筋で踏むことができる。

結論1と結論2をまとめると、こんな感じ。
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【では実践】
5時から6時の間。
早く踏みすぎると、もろに大腿四頭筋を使ってしまい、
遅くなると、下死点(6時)で踏むことになり大きくパワーロス。

5時から5時半くらいでチョン!と踏んで、そのときにお尻のくぼみが意識できればよいのだが、、、、言うは易し。


 1:ロードでシッティング

5時半の位置で、膝の裏をシートポストにぶつけるように踏む。
そして、すぐ引き足に移行する。
 チョンッ!グーー
という感じで。
6時から12時までは引き足。12時から5時半までは、ペダルの回転に足をのせておくだけ。
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6時の時点で膝がのびきっている必要があるので、サドル位置は高めがよい。
膝が伸びきっていないと、大腿四頭筋を使った踏み足になってしまう。
また、やや内股気分のほうが大臀筋を使いやすいらしい。

骨盤の姿勢は、当然、垂直(つまり、前傾ではない)。
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前傾になると、もろに大腿四頭筋を使って踏んでしまう。
骨盤を立てて、踏む際に、踏んでいる側の腹筋に意識があると、「大腿四頭筋を使わない踏み足」ができるようだ。

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腹筋が収縮していないと、踏めていないか、違う筋で踏んでいる可能性が高い。

これこそ、腹筋の重要性。
選手のみなさんの腹筋がきれいに割れているのはこのためなんでしょうか?!



 2:ロードでダンシング

ダンシングならシッティングよりも、ひざが伸びている状態を作りやすい。
ペダルが3時でも4時の位置でも、膝がのびかけている状態なら、大臀筋による踏み足が可能になる。
「膝がのびかけている」位置で、膝裏(あるいは太腿裏)をシートポスト、あるいはBBに当てるような気持ちで「踏む」。

ただし、通常のダンシングに比べると、膝をのばしている時間が長い、つまり「棒立ち傾向」になる。
棒立ちで体重をかければ大腿四頭筋が疲れるて当然。
だから、やや前傾して、体重をハンドルで支える必要がある。ここで「狭いハンドル幅」が生きてくる。私のハンドル幅は38cm。
前傾してハンドルで体重を支えて、膝を伸ばし傾向。ペダルの上でぴょんぴょんと飛び跳ねるように、最後まで蹴る。最後まで脚をのばす。
これが、『必殺技、大臀筋ダンシングスペシャルアタック!!』。
(もしかしたら、毎回名前が変る。長くて覚えられないから。)

これって、もしかして
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↑この人の強さは、十分に理にかなっているんですね。前傾することによって、大腿四頭筋の疲労をかなり防いでいます。


実際の練習では、赤城天使で、めいわ幼稚園から大川食堂までの約2km(5%前後)を大臀筋ダンシングだけで登り続ける。
現時点の私のレベルでも、腕でしっかりと体重を支えていれば、全く疲れない。サドルに座りたいとは少しも思わない。
速度は時速22kmから24kmになる。これをもっと早くしようと思ってはいけない。スピードを追求すると大腿四頭筋に負担がかかるだけだ。
大臀筋はあくまでも「スタミナ筋」なので、自分の可能な速度で「永遠に」走り続けることが練習の目的。



手っ取り早く大臀筋を発動させたいなら、「自転車の傾き」で解決できる。

何も意識せずにダンシングすれば、たとえば右足を踏むときには自転車は、当然、左へ傾く。
これを逆にすればいい。
右足で踏むときに、自転車を軽く右へ傾ける。太腿がトップチューブにこすれる程度に傾けるだけでよい。この方法で踏むと、大腿四頭筋を使わずに、大臀筋を使っている気がする。たぶん、気のせいではない。
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ただ、これがいいことか悪いことかは不明。。。。



【大臀筋練習方法】

①ママチャリ
サドルを最高位置にして、膝裏をシートポストへ当てるように踏むと、ロードバイクよりも簡単に大臀筋を発動できる(気がする)。
前傾すると大腿四頭筋を使ってしまうので、むしろ胸を張って。でも腹筋の意識を忘れずに。これで、永久機関のできあがり。
疲れを感じずに永遠に走っていける。

ちなみに、腹筋も永遠に使い続けているので、知らず知らずのうちに、おなかが引っ込む。たぶん、数週間のうちに仮面ライダーのような腹筋になると予想。
ジテツウ万歳。

ママチャリでダンシングをするとなおよい。
ロードと同様に、膝を伸ばし気味に、ペダルの上でぴょんぴょんと飛び跳ねるように、体を前傾にして、自転車を右足で踏むときは右へ傾けて、、、

ママチャリにはトップチューブがないから、いくらでも傾けられる。ロードよりも大臀筋を意識しやすい。
しかし、ロードよりもパワーは少ないのだから、あまりの急坂ではいつの間にか大腿四頭筋を使っていることになるので要注意。


②下り坂で
大臀筋の収縮を確認するために、ペダルを5時と5時半の間で、ひたすら往復する。
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カチャカチャとひたすら前後させる。
平地では転倒してしまうのんで、坂道の下りで行う。

練習の帰り道に、自分のお尻に手を当てながら、ペダルをこねこね。
知らない人が見たら、まるで怪我をして、やっと帰っているように見えると思う。



【どこまで大臀筋に頼れるか?】
8%程度の勾配までなら、大臀筋の「チョイ踏み」と引き足で、それなりのスピードを捻出できる。
しかし、10%前後の勾配になると、「チョイ踏み」では登れない。ペダルが止まりそうになるので、どうしても3時や4時で踏まないといけない。そして、当然、大腿四頭筋が疲れる。

むしろ、10%では踏み脚をあきらめて、引き足だけにするべきかもしれない。スピードが落ちるのは当然だが、それが脚力なのかもしれない。

ただし、ダンシングは別。前傾大臀筋ダンシングなら大腿四頭筋を使わない。もしも、それが10%以上の勾配でも可能なら…


ということで、ギアを重くして、ひたすらダンシングの練習ばかりやってます。


………


テクニックがない。
スピードもない。
パワーだって、大腿四頭筋に比べればかなり劣る。
唯一の自慢がスタミナ。
そんなかわいい奴、そんな大臀筋。

まるで、、、、、、

アラン・スミス (マンチェスターユナイテッド、FW)

のようだ。

よし、お前の名前は「アラン」に決定。


(「弱虫ペダル」ネタ。泉田という人気キャラは自分の大胸筋のことを「アンディー」と「フランク」と呼ぶ。ハルヒルは別名「弱虫ペダル杯」だから、まずは気持ちから。)





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by akogarehotel | 2015-05-14 16:01 | 本気のサイクリング | Comments(0)  

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