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2017年 02月 02日 ( 1 )

 

1994. 身辺整理 その1、警察学校 平成29年2月2日(木)

身辺整理 その1、警察学校 平成29年2月2日



諸事情により、今年度で3つの副業から手を引くことになった。

本業に専念しろという圧力、そのほか諸々の理由により。


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そのうちの1つ、警察学校の話。

これまでボカした書き方をしていたことを、ちょっと詳細に。



★用語に多少の間違いがあるかもしれないけど、私は警察マニアではないので、ご容赦ください。たとえば、捜査一課と刑事一課の違いとか。



………



警察学校には「幹部昇任用」の講座というものがある。

毎年夏に、2週間、受験生の夏期講習のような授業を受ける。

この授業を受けることにより、その後の「昇任試験の受験資格」を得られる。


しかし、誰もがこの講座を受講できるわけではない。

県内の各警察署から推薦された1名ずつ、合計20名のみが受講できる。

要するに、受講を推薦される人物は、各署の期待の星で、ここに推薦された時点で昇格が決まっている。

受講時は30歳~40歳の警部補だけど、将来は警部や検視官から、さらに偉くなることが約束されている。(警部補だって、十分立派な肩書きですけど。)



そんなエースの集まりなので、授業の雰囲気は恐い。恐い。

生徒全員が姿勢よく座り、微動だにせず、まさににらみ付けるように授業を受けてくれる。冗談じゃなく、取調室で尋問を受けている気分。

しかも、教室の後ろでは、彼らの上官が、居眠りするような生徒がいないかどうか、にらみを利かせている。(そんな生徒は10年間で一人もいない。)


もちろん、挨拶は半端ない。軍隊みたい。

(実際の軍隊を知らないけど。)

直立不動で、(何といっているのか聞き取れないような)大声で挨拶してくれる。

たぶん「ごくろうさまです」と言っているらしい。



日ごろ、町の交番なんかでは、

 「まじめに仕事しろよ、警察官」

なんて思うことも多々あるが、この雰囲気を見ると、

 「ちゃんとした奴が、いるところには、いる」

と改めて感心し、

 「ま、少しは警察に協力してあげてもいいか」

と思えますね。


なんて、上から目線ですが。



………



僕の担当は、2週間のうちの半日、2コマ180分。

「内因性突然死」という内容。

他には、小児科、産婦人科、法医学などの講義や、警察自らの鑑識、検案などの授業がある。


講師料は、半日で2万円。

ここから警察医会費1万円と源泉徴収2000円が引かれるので、手取り8000円。

医者の副業としては、ありえないくらいに安い。

それでも「名誉職」という扱いなので、働く側も、働かせる側も何も文句を言わないらしい。



俺?名誉なんてものは欲しくないんだけど…

恩師から 「他に頼める人がいないから」と言われたら、即答以外にない。

(それが10年前の話。今は、「暇な医者」がそこそこいるので、こんな名誉職が空職になることはない。)



………



じゃぁ、なんで辞めるんだ?


「本業」だけに専念しろ、という家族などの圧力のほかに、


 ★あまりにも時間に厳しい。



警察は軍隊だから、

 「水曜日の午後1時」

と決めたら、1分どころか、1秒の遅刻も許されない。


当然、5分前行動になるけど、

俺たちの仕事が時間通りに終わるわけないじゃん!

「午前中の仕事」が午後1時までかかるなんていつものこと。

時間通りに警察学校に到着するには、「午前中の仕事」すら休養せざるをえない。本業側から文句が出て当然だね。


警察に確認したところ、「後任の手配」ができるということなので、今年度限りでありがたく辞めさせていただきました。

この10年の間に、法医学に入局する医者がだんだんと増えてきましたからね。



………



辞めると言ったら、記念品を頂いた。

勤続10年以上らしい。

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ゴミにも出せず、

漬物石にしかならないんですけど。


ちなみに、警察職員証というものが配布される。

警察手帳ではなく、ただのIDカードだが、合コンに持っていくと10分くらいは盛り上がる。



………



野球選手が夢だったのは、必ず最後に愛は勝つ人ですが、

僕は、塾の先生が夢だった。

だから、この副業は、それなりに楽しく本気だった。


テーマの「内因性突然死」とは、

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病気で突然死すると、どんな所見があるか、ということですが、


言い換えると、

「死体が発見されたときに、事件ではなく病死と断定するのはこんなとき」

「こんな所見、こんな状況なら病死と判断してよい」



まさかテレビドラマのような世界が真実だと思う人はいないと思うが、

病院外で人が死亡する異状死で、それが殺人事件であるのは、おそらく100分の1以下。

群馬県では異状死が年間500くらい(たぶん)、そのうち殺人事件は?

5件もないでしょう。


テレビのなかでは、死体が発見されれば必ず殺人事件ですが、現実は、ほとんど病死。


とはいえ、殺人事件を見逃すわけにはいかない。

そのためには、名探偵のように現場周辺を捜査することも当然必要だけど、

もしも病死と「断定」できれば、それで「殺人事件」を否定する根拠になる。


ということで、病死と断定するために必要な所見、状況などを、偉そうに警察官にお話する。それが僕の仕事。

ただし、たったの3時間で全てを教えられるわけがないので、いつもプリントを配る。

疾患名とそれに伴うはずの所見、現況、内服薬などの一覧。10ページ弱。

出世した警察官から、

 「いただいたプリントは、いつも現場に持っていって、とても役に立っています」

なんて言われると、お世辞だろうけど、とてもうれしく思います。



つまらなくはない仕事なので、辞めるのも気が引ける。

むしろ、本業をやめて副業だけで生活できるといいのにね。

そんなバカなことが不可能だってことは、100億年承知です。



★ちなみに、同じ内容の講義を一般の方にすることは不可能です。

だって、「糖尿病にみせかければ完全犯罪ができる」なんて教えるわけにはいかないでしょ?






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by akogarehotel | 2017-02-02 18:28 | ただの日常日記 | Comments(11)