自転車競技の医務室

医務室といっても、
バンク内に座って、レースやオーロラビジョンを眺める仕事です。オーロラビジョンでは競輪中継を絶賛放映中です。
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医者のパート勤務の相場は、なんと、半日4万円です。
この金額は30年間、変わっていません。
僕が研修医のころ、どこぞの大手銀行やどこぞの大蔵省などの医務室に半日勤務すると、それだけの金額をもらってました。
ぼろ儲け?
全然、そんなことありません。
当時、勤務している大学病院からの給料はほぼゼロ。
(正式には25000円。ゼロの数を間違えてはいません。)
大学病院からお金をもらえないので、病院勤務の合間を縫って、週2回くらいのパートに出かけます。これで、やっと30万前後の月給になります。医者になって3,4年は、みんなこんな状況です。
現在は研修医制度が確立されて、基本給が確約されました。しかし、それはそれで規則が厳しくなり、パートなどの自由が効かなくなったという不満があります。
結果的に、半日4万円、一日8万円という金額設定だけが、今でも暗黙の了解として残りました。
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5月8日(日)は、グリーンドームにて、高体連の自転車競技。
バンク内で待機して、誰かが落車したら駆けつける仕事。
オーロラビジョンでは「プロのレース」も絶賛放映中。誰も怪我(落車)しなければ仕事(治療)はなし。プロのレースだけを観ていればいい。
そんな気楽な業務で、お金をもらうわけにはいかない。欲しいけど。
なので、金額を、そっくりそのまま自転車競技連盟にお返ししてます。
そのお金を連盟が、例えば大会後の打ち上げ代金とか、たとえば忘年会代金とか、たとえば何かのシュワシュワした飲み物代金とか、たとえばお昼ご飯の「とりへい」のグレードアップに使ってもらうために。
(実際は連盟所有の自転車部品を購入して、各高校に貸し出します。ホイールひとつが何十万の世界ですから。)
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ということで、毎回、無給ボランティア。
こうなると、逆に、
『てめぇら、絶対に落車するなよ。こっちはボランティアなんだから、いらない仕事を増やすんじゃねぇ。』
基本的に落車するのは初心者です。
競争経験が少ないので、相手の動きが予測できない。
あっ、と思った瞬間にペダルを止めてしまう。競輪用の自転車はペダルを止めると転倒する仕組みになっている。
単純に脚力がなくて、まわりに付いていけなくても落車する。
初心者が落車する理由はありすぎます。
今回の大会は、高校1年生も参加。
部活を始めてまだ1ヶ月。
ういういしいというよりも、心もとない。
「しっかり走れ、このボケ!」
基本的に自転車競技関係者は、厳しい人ばかりです。
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コロナのために、選手の経験値は大幅に低下しています。
インターハイ(全国)でも落車が多くなってきた。
それらを踏まえて、高体連として「医者を常務させる」という方針になったらしい。
今年6月の関東大会(大宮開催)から医者が勤務するという。
しかし、予算の出所は?
上記のとおり、3日なら20万かかる。
「僕が無給で行きましょうか?」と提案したら、
『本部にしっかりと予算を組んでもらいたいから』と遠慮された。
もちろん、それが理想です。
ちなみに、僕が無給で勤務するには条件があります。
1)僕も、バンクを走らせてもらえること
2)不真面目な選手がいないこと
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今日の県大会の参加人数は、コロナ欠場もあり、総勢20名弱。
もっとも競走人数の多い「スクラッチ」は12人のレース。
しかし、インターハイ(関東予選)へ行けば、一度に20人以上で競走する。群馬県に限らず、全国の生徒が、大人数でのレース経験が少ない。
落車が心配。医者泣かせ。

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その後、先週と同じく、みなかみで練習試合をしている長女のもとへ。
みなかみチャレンジは、一日14試合という体力勝負。こちらも、みなさん頑張り屋さんばかりです。

↑またまた、本文とはあまり関係ない、みなかみ中学からの風景。
自転車で走りたくて、ウズウズしてしまう景色ですね。
# by akogarehotel | 2022-05-14 21:40 | 競輪 | Comments(2)