2155. 「モロッコ格安新婚旅行1999」(6) ここで生きてる? 平成30年4月

「モロッコ格安新婚旅行1999」(6) ここで生きてる? 平成30年4月

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アトラス越え


マラケシュとワルザザードの間には、学校でも勉強したアトラス山脈がある。

アトラス山脈には、高、中、低の3部分があり、これから向かうのは「高アトラス」だ。

正確な高さはわからないけど、教科書にのっているくらいなので、かなり高いであろうと想像できる。最高峰のトゥプカル山は、4100mだ。


直線距離では100km程度なのに、山道をくねくね進むため、4時間以上はかかるという。しかも、道路にはガードレールがない。ガードレールを作るお金はモロッコにはない。


ほんと、RPGみたいになってきた。



………



2006年、エジプトで日本人を乗せた観光バスが横転し、死者も出た。

テレビでは、ツアーを企画した旅行会社の人が、頭を下げて謝っていたが、

エジプトのバス会社の反応は、おそらく、


 「ごめん、でも仕方ないさ」


その理由は、2つもある。



1つがイスラム教。

「すべては神の思し召し」


あなたが無事に帰るか、事故にあうか、それはあさはかな人間が考えて分かることではない。すべて神が決めたことだ。

さらに、この事故の当日はラマダン(断食)だった。運転手さんは、空腹限界状態で運転していたんでしょうね。



2つめは、あの辺りの交通事情。

「市街地を時速80kmで走る。2車線の道に車が割り込むので、3,4車線になる。大型バスが猛スピードで追い越しをかける」

モロッコやウズベキスタンでも、よく見る光景です。

ま、日本の金沢でも、1車線の道を2車線で利用してますから、文句は言えません。

ただし、アフリカあたりは、時速20kmの超安全走行の軽トラやリアカーがたくさんいますので、日本よりも危険極まりないのは確かですね。



………



なので、ミサイルのようにすっ飛ばすバスの運転手に、日本人が、


『もっと安全運転しろ!』


と言ったって、聞くはずがない。


『あなたがた日本人が、朝食に納豆を食べるように、我々は、足が床にくっつくくらいアクセルを踏み込むのさ』


と考えている(かどうかは知らない)。



公共の交通機関が事故を起こすはずがない、なんてのは平和日本人の錯覚。いくら事故をおこしても、おそらく、今日もエジプトやモロッコでは、バスがミサイルのようなスピードですっ飛ばしています。


ということで、無事にアトラス山脈を越えられるかどうかは、すべて「神の思し召し」。

思し召しの結果、道路の横へ転がってしまった大型トラックと、観光バスを1台ずつみかけました。



★★★



午前11時。マラケシュ。


アラビア語が飛び交うバスターミナル。行きかう人のほとんどがアラブ人、またはベルベル人(真っ黒い人)だ。西洋人が一人もいない景色は、もう見慣れた。

ワルザザート行きのバスは、日本の路線バスのような車両。カサブランカからのバスとは違い、扁平な背もたれで、隣とは区切りのな座席が並んでいる。

自由席だが、長距離路線なので席数ぶんしか乗車させていないようだ。立っている人はいない。バスターミナル同様、乗客はアラブ人ばかりだ。



マラケシュを出て、しばらくは快適な2車線が続いたが、30分も走らないうちに片道1車線の、みすぼらしい舗装道になった。舗装道のはずなのに、砂埃が舞い上がる。


1時間走ったところで、ドライブインに立ち寄った。

荒野の一軒家という感じのドライブイン。

バスから降りると、物乞いの少年がかけ寄って来た。まだ小学生くらいだ。小銭とパンを渡した。

店内でコーラを飲んだ。生水を含まない安全な飲み物は、ビンで販売している炭酸飲料しかない。旅行中は、コーラばかりを飲むことになる。


店の外へ出ると、また別の物乞いの少年が寄ってきた。いったい何人いるんだろう?

お釣りの小銭を渡した。もちろん、このお金は、彼らの小遣いになるのではなく、家計の足しになる。

子供は学校なんて行かずに、家のために金を稼ぐ。

カサブランカやマラケシュの都市部を、一歩、外に出れば、だいたいこんな感じだ。



………



ドライブインを出発すると、さぁ、アトラス山脈。

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低いところで、2000mと考えると、渋峠レベル。

渋峠ならば、森林限界なので、木々が生えているはずがない。ふきっさらしの、岩だらけの赤い山肌が広がっている。砂埃だらけだ。

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等高線に沿った細いカーブを、バスはゲームセンターみたいなスピードで進んでいく。大丈夫か?

ここで崖下に落ちても、誰にも気づかれないだろな。

もし気づかれて、新聞に載っても、「そんなところに旅行するバカな奴」と言われるんだろうな。

本気で、そう心配するくらい、限界スレスレの運転だ。


こんな山道を通っているのは、長距離バス以外には、オンボロベンツの長距離タクシーと、今にもタイヤがはずれそうな長距離大型トラックとタンクローリーくらいなもの。

そんな大型車ばかりだから、すれ違うのもハラハラどきどきの連続。


ま、心配しても仕方ないから、遠くの山でも見ていよう。

って、崖下に落っこちてるトラックがあるし!

回収するのが困難なのだろう。いつの事故だかわからないが、落っこちてる大型トラックを2台も見かけた。。。。。



………



アトラス山中のドライブインで休憩。

ドライブインといったって、立っているのが不思議な建築物だ。

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ここに店があるということは、この近くに住んでいるのか?ということだが、

遠くの山を眺めると、斜面にへばりつくように建っているブロック造りの家が、数軒見える。よくもあんなところに住んでいるな。あそこまでどうやって行くのだろう?。


ちょっと雨が降れば、あっという間に流されてしまう崖っぷちだが、

その、「ちょっとの雨」すら降らない場所ですからね。



さらに数時間、山道をくねくね走る。

峠を越えて、下り坂基調になると、さらにスリル倍増。右へ左へ、遠心力まみれ。

だんだん直線が多くなってくると、ゴールも近い。直線なので、バスもさらにスピードアップ!

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午後4時すぎ。マラケシュから5時間。

城砦の町、ワルザザードへ到着した。



よかった、生きてたよ。

 『インシャッラー(すべては神の思し召し)』






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# by akogarehotel | 2018-04-23 19:08 | あちこち旅行記 | Comments(0)  

2154. 「モロッコ格安新婚旅行1999」(5) マラケシュは続く 平成30年4月

「モロッコ格安新婚旅行1999」(5) マラケシュは続く 平成30年4月



マラケシュの魅力は、フナ広場だけではない。

広場の北側に、広場以上に大きく広がるスーク(商店街)がある。



商店街と言っても、日本のように整然と立ち並ぶ街ではない。ちょっと行くと右へ曲がり、ちょっと行くと交差点があり、ちょっと行くと行き止まりがある。まさに、というか、本物の迷路だ。異国というよりも、異次元に迷い込んだようだ。もちろん、大昔、異民族からの襲撃に備えて工夫されたものだ。

(迷路の町並みはフェズのほうが有名)


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スークは、観光客よりも現地人を対象にしている。

おみやげ屋も数多く並ぶ一方で、生活雑貨、肉、野菜、調味料などが、大雑把に売られている。初めて見る得体の知れない売り物を、ぼーっと眺めながら迷路をさまよっているだけで、十分に楽しい。地球は広い。


ただし、みやげ物屋からの「買え買え攻撃」と、ガイド希望者からの「案内してやる攻撃」をうまくかわす必要がある。

道に迷って帰れないかも、という緊張感もまた楽しい。



………



マラケシュには2泊した。

しかし、フナ広場、スークの他にも寺院や遺跡などがあり、二日でも全然足りない。

というか、フナ広場には、3日でも、4日でも過ごしていられる魅力がある。



朝。

まだ涼しい時間は、朝日の中にアスファルトが見えるだけ。静かだ。

(ゴミがほとんどない!)



昼近く。

だんだんと人間が集まる。オンボロの乗り合いタクシーが、ところかまわず、突っ込んで、止まって、人が乗り降り、クラクションがわめき合う。



夕方。

そこそこに屋台が立ち上がり、気の早い観光客が群がり始める。アラブ人とベルベル人は、日が沈んでからいっせいに終結する。



夜。

また今夜もお祭り。何時まで続くのかは知らない。

節度が保たれているのは、イスラム教でアルコールが禁止されているおかげでしょう。イスラム教のおかげで、この広場が維持されていると言っていい。


(数年後、ラマダンの時期に再訪した。ラマダンとは絶食のこと。日が昇っている間は、一切の飲食が禁止。日が沈んだ瞬間に食べ放題開始。それはそれは、さらに激しいお祭りの始まりでした。)



………



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↑マラケシュには、こんな場所もある。

フナ広場を一望できる高級カフェ。観光客しかいない。

ワイシャツでビシッと決めたウェイターが、西洋人には丁寧なのに、ちびっこアジア人には冷たい態度なのが、気に障る。



………



日本人は、あれもこれも「ぼったくり」と言いすぎだ。

悪意のないものは「ぼったくり」とは言わない。



でも、残念ながら、悪意がある奴がいることも確かだ。

グレーと、クロの例を、ひとつずつ。



新市街のバスターミナル近くの路上。

ござの上に障がい者のおにいさんが座っている。

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20歳くらいか。

おにいさんは、いわゆる先天性奇形。手足が極端に短く細く、右腕を除いて、全く機能しない。歩くことはもちろん不可能。座っているのにも支えが必要。こんな重度の障がいを抱えながら、よくもこの国で生きてきたと思う。どうやって?


おにいさんの前には、お皿が置いてある。募金用だ。お札など、そこそこの額がたまっている。

募金のおかげか…



いや、それ違う。(たぶん)



このお兄さんが、一人でここに来て、ここに座っていられるわけがない。誰かの介助がないと、ここには来れない。

そして、お兄さんの前にある募金を、他の誰かが奪っていかないのはおかしい。さすがに、そこまで平和な街ではない。


おそらく、街の「ある人」が、彼を、外国人が通りやすい歩道に座らせて、お皿もセッティングして、そして、どこかで監視している。。。はず。

「ある人」って?あとはわかるな?



だから、このお兄さんにお金を寄付することは、喜捨ではない。

でも、この寄付のおかげでお兄さんが生きながらえていることには変わりはない。

複雑な気持ちのまま、お札を置いてきた。



以上が、グレーな例。



………



クロの例。


マラケシュには公衆電話があった(今はないかも)。

専用のテレホンカードを使う。テレホンカードは、公衆電話近くで、20歳前後のお兄さんが売っている。1枚500円もする。(モロッコの相場は、日本の10分の1。)

1枚買った。使ってみた。



電話がかからない。

モニターを見ると、テレホンカードの残り回数がゼロ回のようだ。

テレカ屋のお兄さんに文句を言うと、


 『俺、知らないよ』


俺が悪かった。人を信じすぎた。



………



グレーや、クロを経験すれば、猿の写真を撮って、数百円要求されても、払ってやろうかって気になります。

マラケシュでも、濃厚な体験がたくさんできました。楽しくて仕方ないよ。



………



さて、ゆっくりはできない。

マラケシュのあとは、ワルザザートへ向かおう。

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マラケシュの遠距離用バスターミナル。


だったぴろい広場にたくさんのバスが無造作に止まっている。

切符売り場もコンクリート丸出しの質素なビル。現地の人の列に並んで、無事に切符を購入。カサブランカと違って、明らかに現地人比率が高い。というか、外国人観光客がいるか?




マラケシュから、アトラス山脈を越えて、ワルザザートへ行けば、「砂漠」はもうすぐそこ(のはず。)。

ドラクエのような旅も、やっと中盤です。






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# by akogarehotel | 2018-04-21 14:20 | あちこち旅行記 | Comments(0)