2132. あちこち旅行記 「いい旅チャレンジ20000km」 平成30年3月
あちこち旅行記 「いい旅チャレンジ20000km」 平成30年3月
その昔、昭和の頃、大赤字だった国鉄が経営建て直しを賭けて始めたキャンペーンが、「いい旅チャレンジ20000km」。
国鉄全路線(当時約2万km)を走破すると豪華な景品。全部でなくとも、走破した路線数に応じてそれなりの景品がもらえるというもの。
山口百恵の「いいひー、たびーだちー」という歌とともに、一応、一瞬ではあるが「鉄道ブーム」「乗り鉄ブーム」の火付け役となった。
乗った評価は、「距離」ではなく「路線数」でカウントされる。
高崎線、東北本線、山手線…という単位で、それらを始点から終点まで乗車し、両端の駅で、駅名と自分の顔が写った写真を撮影する。その写真を事務局に郵送すると、折り返しに乗車認定証が来る。その数が一定数になると賞品がもらえる。
もちろん、賞品も目当てになるが、それよりはコレクター感覚の自己満足のほうが大きい。おかげで、観光ではなく、「電車に乗るために電車に乗る」という人間が増えた。
この「いい旅~」が始まったとき、僕は小学校6年生。
当然、非常に夢中になり、時刻表を見つめる日々が続いた。
………
路線数単位だから、短い路線がお得。長い路線は損をする。
東北本線なら東京と青森の写真が必要だが、(当時あった)赤羽線なら赤羽と池袋の写真でよい。
必然的に、都内の路線は短いものが多く、路線数を稼ぎやすい。
が、せっかく乗るのなら、もちろん遠くへ行ってみたいのが人情。
………
このキャンペーンのおかげで「路線」には非常に詳しくなった。
たとえば、
勘違いしている田舎モノが非常に多いのだが、
水道橋、市谷、信濃町、千駄ヶ谷などの駅の路線は何?
黄色い電車だから「総武線」?
答えは「中央本線」。中央線ではなく、中央本線。黄色い電車は総武線から乗り入れているだけ。東京-神田-御茶ノ水-新宿-甲府-名古屋の「線路」は中央本線。
ちなみに、中央本線は中央東線と中央西線にわかれている。
もう一問。東京-上野間の路線は何線?
京浜東北線?そんな路線は存在しない。これは愛称。
山手線?山手線の正式部分は、品川-新宿-田端まで。
正解は「東北本線」。東北線ではなく東北本線。
東京-上野-田端-大宮-仙台-青森、と続く東北本線。(現在は、新幹線開業とともに東北地方内での路線が細切れで廃止されてます。)
などという、どうでもいい話で盛り上がれるのが、「乗り鉄」「路線マニア」なんです。
………
路線数を稼ぎたいなら都内を乗ればよい、
ということで、
小学校6年のとき、カメ(本名イノウエ君)と2人で、都内1周の旅に出た。
写真を撮らないといけないので、2人組みだと便利だ。
(当然、一人旅もする。そのときには、そこらへんの大人の人に写真を撮ってもらうように頼む。小学生が大人とコミュニケーションを取るきっかけになるのだから素晴らしいイベントだ。)
山手線(品川-田端)
赤羽線(赤羽-池袋)
武蔵野線(西船橋-府中本町)
南部線(立川-川崎)
横浜線(八王子-東神奈川)
と往復の高崎線(大宮-高崎)
などを1日で乗り切った。
日が沈むまでに帰らないといけないので、小学生2人で、大急ぎで駅から駅へと走り回った。お昼ごはんを食べた記憶などない。
根岸線(横浜-藤沢)にも乗りたかったが、時間が足りなかった。鶴見線は距離は短いのだが枝線が多く、不便で手間がかかるので無視した。同じく相模線も寒川の枝部分がネックになり断念した。
まるでポケモンを集めるのと同じ感覚で、ワクワクしながら電車に乗っていた。
しかし、カメは僕ほどには電車マニアではなかったので、実は迷惑だったかも。
その後も、一人旅などあちこちへ旅行して、10年後にキャンペーンが終了するころには、全国242線区のうち、100路線くらい走破していた。
ちなみに、賞品として、レールから作られた「文鎮」をもらったが、僕は習字などしない。
by akogarehotel | 2018-03-01 19:18 | あちこち旅行記 | Comments(0)