2157. 「モロッコ格安新婚旅行1999」(8) この国のスーパーマン

「モロッコ格安新婚旅行1999」(8) この国のスーパーマン



『では、明日の朝8時に、ここ集合。』


と決めて、僕らはホテルへ戻った。



………



ロールプレイングが想定外に進行した。


ザゴラではなく、サハラへ行けることになったのは、とてもうれしい。しかも、砂漠の宿が手配でき、なおかつ、正体不明の相棒が仲間に加わった。

うきうきワクワクが止まらないロマンティック。



ホテルに戻ると、モハンマド兄ちゃんが忙しそうに仕事をしていた。

お礼の声をかけると、


『 サハラへ行って戻ってくるまで、部屋はキープしておく。いらない荷物は残しておいていいよ。 』


どこまで、幸運なのでしょう、私たち?

(こんなふうにして、荷物を盗まれる可能性がなくはない。一応、なくなってもよいものだけをおいておく。お土産とか。)


その夜は、モハンマド兄ちゃんに勧められた地元民御用達の店で夕食を食べた。

値段を多少ふっかけられても、今日だけは許す。



………



翌朝8時、僕らは、オンボロビルの旅行会社に行った。

旅行会社の前には、フィアットの5ドアが停めてある。旧式デザインで、1500ccくらい。

これが、僕らの大事な足であり、命綱だ。


(これを機に、僕はフィアットが気に入ってしまい、帰国してから、同じフィアットプントを購入したが、デザインが丸型(2003年製?)に変わってしまっていた。)



もちろん、フィアットなんかよりも、「オマール」のことのほうが100倍も気になる。

これから数日間、このアラブ人と一緒に過ごすわけだ。変な奴だったら、どうしよう。

初対面の挨拶はとても緊張したが、握手した手がものすごく分厚いので驚いた。本当にライオンを掴めそうだ。


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↑フィアットプントとオマール。



オマール 『 まずは、アイトベンハッドゥへ行き、その後、メルズーガへ向かう。昼過ぎには砂漠に着く。 』


メルズーガまで、300kmもある。僕らとしては、寄り道せずに早く向かって欲しいのだが、この「アイトベンハッドゥ」は地元のシンボルらしい。ワルザザートに来て、これを見ないで帰すわけにはいかない、という勢いだ。そりゃ、世界遺産だからね。



富岡市民にとっての富岡製糸か。

じゃぁ、見なくてもいいことになってしまう。



車は、メルズーガとは逆方向へ出発した。

30分ほど、砂煙の中を走って、アイトベンハッドゥに到着した。

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(こんな写真しかないので、ごめんなさい。)

何百年も前に、実際に城砦として使われた遺跡だ。当時から、そして今でも、人が中に住むことができる。

オマールの案内で、中を歩いた。

住んでいる人たちが、「また観光客か」という目つきでこっちを見る。

ごめんなさいね、お邪魔しますよ。



さすがに世界遺産だ。これは来る価値がある。

ワルザザートを、モロッコを、代表する観光資源だ。

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………



さて、いよいよ、サハラ(メルズーガ)へ出発。時刻はもう11時だ。


 『 300kmあるから、だいたい4時間くらいかな? 』


と、オマール他、旅行会社のスタッフが口をそろえて言う。

平均時速75kmで走らないと4時間では到着しない。そんな計算は、小学生でもできる。しかし、モロッコに高速道路はない。

ついでにいうと、道路交通法なんて気の利いたルールもなさそうだし、それを取り締まる警察も、いないっぽい。(実際はあると思います。失礼。)

反乱を取り締まる軍隊はあるのに。



ということで、砂埃の一般道を時速80kmの旅となる。

そのフィアットを運転する「相棒オマール」の話。


 メルウィー・オマール

フランス風のしゃれた名前のくせに、現地民族ベルベル人。身長180cm。こげ茶色の肌にアラブ人共通の鼻ひげと天然パーマ。白い目がキョロッと光り、へんにかわいい。


そんなオマールは、時速80kmで走るフィアットを数cm単位で操り、対向車をかわし、歩行者をよける。その動物的な視力により、数百m先での検問に気づき、あっという間に、時速90kmから時速30kmに減速し、一瞬の早業でシートベルトを装着する。(検問を過ぎれば、すぐにはずす)

彼らは、日本人とは人種が違う。たぶん、半分くらい動物の遺伝子が混ざってる。


オマールのすごいところは、その運動神経だけではない。彼には、途上国としては考えられないくらいの「気遣い」能力が備わっている。

世界で最も気遣いに長けているのは、間違いなく日本人だ。それゆえに、ぬるい環境に慣れてしまった日本人は、沖縄を含めた海外旅行では、いつも現地人の気遣いのなさに辟易する。(さりげなく沖縄。)


 お前らの国の辞書には、遠慮とか謙虚とか礼儀という単語はないのか!?

 多分、ない。


ところが、オマールは例外中の例外。


 『 疲れたか?空腹か?トイレは?写真とるか?』


など、カタコトの英語で、親切に何度も何度も聞いてくれる。まさにかゆいところに手が届く。

いったい、どこでこんな技を習得したのでしょう。本当にいいやつで、心から頼りになるんです。


(オマールは、ワルザザートの「タフクト・カー」という旅行会社で働いている。ホテル・ロイヤルの反対側、または「スーパーマーケット」という名前のコンビニの反対側。もしも、行くのなら、おみやげとしてマルボロのタバコを持っていってあげてください。)



………



フィアットには、もう一人「乗客」がいる。


助手席に座っているアラブ人のハッサン。

オマールよりも鋭い目を持ち、真っ黒の口ひげ、真っ黒のマント。外見上は、そのまま映画に出られそうな砂漠民だが、実は砂漠のホテルのオーナーだ。


ということは、旅行会社のオマールとは仲が良いらしく、楽しそうに2人で話をしてる。

僕らとしては、オマールと3人きりで300kmのドライブをするよりは、緊張感が解けていい。ちょうどいい乗客だ。

しかも、日本人の勝手な先入観どおりに、アフリカ人は非常に明るい。カーステレオに合わせて、えんえんと鼻歌を歌っている。気を使わなくてよいので、本当にらくだ。


時速80kmであること以外は、まったくストレスのない旅路だ。



↓右端がハッサン。左端はハッサンの弟、あとで登場。

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by akogarehotel | 2018-04-29 01:22 | あちこち旅行記 | Comments(0)  

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