2018年 04月 09日 ( 1 )

 

2146. あちこち旅行記 「セレブスキー(2)」

あちこち旅行記 「セレブスキー(2)」



次は、医者4年目、1995年の夏。

8月に1週間の夏休みをもらった。

(3年目、4年目だと、そこそこ人間的な扱いをしてもらえる。)



どこ行く?

もちろんスキー、でも「夏休み」ということは…


 「ニュージーランドでスキー」


南半球でスキーができるのは知っているが、じゃぁ、どこの国のどこで滑れるかなんて知るわけない。JAL直営の旅行代理店へ行って、すべてお任せパックを申し込んだ。(ちなみに、当時、HISは存在していない。)


「ニュージーランドでスキー6日間、オークランド観光も(現地添乗員付)」


レンタルスキーなんかで満足できない、自分のスキーを持っていく、

なんて意地を張ってみた。あまり意味がなかったかも。



………



真夏の都内を、大きなスキー荷物を担いで成田空港へ。

まわりから不思議な視線。

飛行機は夜行。夜遅く、成田を出発し、翌日早朝NZのオークランドに到着。日本とNZではほとんど時差がない。

 オークランド → クライストチャーチ → クイーンズタウン 

と、飛行機を2回乗り継ぎ、リゾートの街クイーンズタウンに到着。


NZではスキー場に宿泊するのは一般的ではないらしい。ふもとの町に泊まる。

麓にはスキー客用の中級ホテルがいくつもある。日本ではペンションというほうが正しいかもしれない、せいぜい3階建てくらいの規模だ。でも部屋は清潔清楚で、食事は豪華なバイキングだった。

クイーンズタウンの近くには大きなスキー場が3つ4つあり、それらへ向けて無料送迎バスが往復する。宿泊客は毎朝、好きなバスに乗って、好きなスキー場へ行けばいい。



NZは、日本と同じような島国のくせに、スキー場の規模は比べものにならないくらいにデカイ。どのスキー場も、いわゆる「1枚バーンのゲレンデ」だ。「コース」なんていう狭い小さなものは存在しない。

その1枚バーンも、ただの平面ではなく、おおきな「うねり」があり、変化に富んでいる。そして、何よりも素晴らしいことに、スキー客が少ない。決して、スキー人気がないのではなく、スキー場があまりにも広いので、人口密度が少ないということ。

1枚バーンのゲレンデのくせに、おおきなくぼみ部分を滑っていると、視界から人間が完全に消えることさえある。遭難したかと思って不安になるが、そのまま滑って、丘を越えると、人間が見えて安心する。

どんだけ広い空間を独り占めできるんだ?!

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こんな満足感は日本のスキー場ではありえない。

来て良かった。



………



NZスキーの目的のひとつが「ヘリスキー」。

現地の旅行会社に自分で申し込む。NZでは意外と日本語が通じる(後述)。


申し込んだ初日は悪天候で不可。

翌日早朝、ホテルで寝ているところに電話が来て、


(英語で)「起きてるか?今から迎えに行く。」と。


Of course, I do.


迎えの車に乗せられて、30分くらいで、ヘリポートに到着。

そこは民間の飛行場のようで、小さな飛行機が離着陸している。音がうるさい。


しばらく待っていると、いろいろな人が集まってきた。

どうやら他にお客が3人いるらしい。

その3人とも、ガスタンクのように丸々と太った外人の男だ。NZ人ではなく、USAとカナダだという。バケーションで1ヶ月滞在するとのこと。うらやましい。

というか、とりあえず横幅ありすぎ。俺の倍はある、間違いない。


(こんなに乗れるなんて、随分大きなヘリコプターなんだね。)

と、このときは想像していたのだが。

ヘリポートに出てきたのは、普通のヘリ。

子供番組でよく見かける、丸い頭のヘリコプター。前後2列の座席しかない。前列はパイロットと、スキーガイド。後列に…まじかよ。

ガスタンク3人と俺。この設定、あり?

丸くカーブした扉に、丸くピッタリ押しつぶされるように乗りこんだ。


(狭いのは許すけど、これで落ちないの?)



………



さて、人生初のヘリコプターが大きな音とともに離陸。


!!感動した!!


これはすごい。文章では表せない。

どんなジェットコースター、どんなアトラクション、どんな乗り物よりも、スリルがある。

実は、ヘリコプターは時速200km以上出せる。

空高くを飛んでいるときは、この時速は体感できないが、地面すれすれを飛んだら?

まわりじゅうガラス張りの新幹線に乗ったら?みたいな感覚。


NZの田舎町は、何もない一本道。森林限界なのか、大きな気がほとんどない。アメリカ映画のように、原野の1本道が地平線の向こうまでえんえんと続いている。

そこを、地面すれすれ(実際には50mくらいの高さ)を時速200kmで飛びぬける。

映画のワンシーンのようだ。


落ちそうで恐いけど、そんなことを忘れるくらいに興奮していた。

しかも、時折見える羊の群れがかわいい。(NZは評判どおりに、いたるところに無数の羊がいる。)



………



30分ほどで、どこかの山頂に着陸。

ものすごい音のなか、ものすごい風圧(ヘリのプロペラ)から逃げるように、ヘリコプターから降りて、地面にはいつくばる。立ち上がると風で飛ばされて危険だ。

ヘリコプターが遠くへ去ってから、やっと立ち上がる。


そして、辺りを見て感動!

自分より高い位置には何もない(青い空と、ガスタンクさんの頭だけ)。

自分の目線の下に、一面に広がる雪景色。そのはるか向こうに、よく分からない町並み。小さすぎて、よく見えない。

ヘリスキーで滑るのは、当然、「ただの山」。日本的には遭難しても自己責任。

NZだって同じこと。ガイドさんから離れたら、崖から落っこちても文句を言えない。一所懸命に彼を追いかける。

斜面は、30度前後の急斜面。雪はもちろんフカフカの新雪。それなりの技術が必要だが、技術以外に道具も必要。通常の板では細すぎて新雪に埋まってしまう。

そこで、サーフィンのような幅広の専用板を借りる。そして、やや後傾で、板の先を雪の上に出しながら、左右への体重移動で滑り降りる。エッジは立てないほうがいい。


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天気は晴れ。日焼けするくらいの晴れ。

悪天候では中止されるので、実行されるということは晴れ。

すべてが快適な空間のなかを、ガイドを追いかけて滑るガスタンク3人と僕。やつら、体型の割りに意外とうまい。



適度な休憩をはさみながら、1時間程度で麓まで滑り降りた。

麓(ふもと)といっても、ただ平らな地形だ。これ以上、降りる場所がないという低地。

待つこと数分、ヘリコプターが迎えに来た。

またぎゅうぎゅう詰めに乗り込んで、さっきとは違う斜面へ。そして、またサーフィン。


こんな楽しいスキーは経験したことない。



2本滑って、山頂に戻ったところで昼食。

もうひとつのグループが合流して、合計8人の客と、2人のガイド。

コーヒーとサンドイッチが全員に配られた。うまくないわけない。


驚いたのは、別のグループに日本人が一人。僕より、ちょっと年上の男性。スキーは1級だそうだ。(それくらいうまくないと、ヘリスキーは滑れない。)

さらに驚いたのが、ボーダー(外人)が一人。バカみたいに上手い。この1995年当時、日本では「うまいボーダー」なんて存在していなかったと思う。

新雪の中をスイスイ滑り降りる彼は、まさに海の上のサーファーだった。


合計4本滑って終了。

「もう一本行くか?」とガイドに聞かれたが、全員が

「ノーサンキュー」

それくらい堪能した。


2万でお釣りが来るくらいの値段だった。バブルな思い出。


(NZ旅行記、つづく)








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by akogarehotel | 2018-04-09 18:59 | あちこち旅行記 | Comments(0)